県内自治体の「議会基本条例アンケート」を実施しました。
青森県政を考える会は、2020年11月中旬から12月にかけて、県内各自治体に対して、議会基本条例アンケートを行いました。地方分権が進む中で議会が果たすべき役割はますます重要になってきています。首長が提案する政策の追認にとどまらず、住民の近くにいる議員が住民の声を吸い上げ政策提言につなげるなど、議会が住民目線に立つことにより首長と政策競争が出来る議会が求められています。「こうした新たな議会のあり方、運営のルールなどを条例の形で住民に示し、議会、議員の活動の指針とするのが、議会基本条例」(※)です。
全国の自治体における制定自治体の割合は、自治体議会改革フォーラムHPによると2019年4月1日現在、888の自治体で議会基本条例が制定されており、制定割合は全自治体の49.7%となっています。
青森県の場合はどうでしょうか。当会の実施したアンケート(アンケート用紙はこちら)に対して県も含め41の全自治体から回答をいただきました。いただいた回答は全体を総括表にまとめました(総括表はこちら)。
(※)磯崎初仁「自治体政策法務講義(改訂版)」より
<回答の概要>
1.議会基本条例を制定しているか
制定している 13 (31.7%)
制定していない 25 (60.9%)
類似条例を制定している 3 ( 7.4%)
「制定している」自治体のうち、8つが市で、町が4つ、そして県です。
「制定していない」自治体は25で、その中に五所川原と平川の市が2つ入っています。
15の町が制定しておらず、県内に8つある村はいずれも制定していないとのことでした。
「類似条例を制定」していると答えたところが4つです。そのうちつがる市は、議会基本条例に加えて
「議会議員政治倫理条例」を制定しているとのことでしたので、集計から外し3つとしました。
2.基本条例を制定する予定はあるか
次に、「制定していない」と答えた自治体に「基本条例を制定する予定はあるか」と聞きました。
予定している 8 (33.3%)
予定はない 16 (66.7%)
「予定している」と答えた自治体には、さらにいつ予定しているかを聞きました。
鯵ヶ沢町、南部町、階上町では来年度制定予定とのことでした。
五所川原市は時期未定、内容を検討中と答え、平川市は検討中との回答でした。
「予定はない」と答えた自治体にはその理由を聞きました。
その中で、「議員の話し合いが行われていない」「制定の動きがない」「議員の意見等があがらない」
「なぜ必要なのか」など議員の意識が問われる回答が今別、大鰐、鶴田、田舎館、佐井などいくつ
かの自治体からありました。深浦町では反対者がいたために進めていないとのことでした。
風間浦村からは他町村の動向を踏まえながら検討すると、自主性のない回答がありました。五戸町
はコロナや財政状況を考慮し、当分凍結することになったとの回答がありました。
蓬田村は、議員間で意見がまとまらなかったことを理由にあげました。
3.条例制定により取り組んでいることは?
最後に、「制定している」と答えた自治体に、条例制定により取り組んでいることを聞きました。
制定している13の自治体がそれぞれ取り組み内容を答えて下さいました。
議会報告会を行っている自治体が多いようです。
一問一答による質疑応答の実施という回答も複数ありました。
つがる市はとても丁寧に回答をしてくださいました。是非総括表をお読みください。非常にきめ細かな
取り組みが行われているように思われました。
最後に青森県の取り組みとして、5点の回答がありました。これを見ると、議長記者会見、委員会傍聴の
原則公開、議会広報誌の発行など、主に県民への情報公開に力点を置いた取り組みがされてきている
ようです。今後、議会基本条例に示されているような議員相互の討論や、参考人や公聴会の導入などの
議会改革に本格的に取り組まれることを期待します。そのためには条例の検証活動が不可欠です。
4.各自治体に期待したいこと
①議会基本条例未制定の自治体は、基本条例の制定をめざし取り組んでください。
その際の議会事務局のイニシアチブは大きいものがあります。
②制定済みの自治体は、基本条例が実効あるものとなるよう住民と共に検証活動を実施してください。
③地方議会は引き続き住民福祉の向上をめざし奮闘してください。