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2015年豊かな青森県を実現するための基本政策

2015年1月30日 青森県政を考える会

 前文

 わが青森県は、太平洋・陸奥湾・日本海の三つの海と日本百名山である八甲田山・岩木山、そして世界遺産である白神山地を有する、日本有数の自然に恵まれた地域です。その美しい自然と豊かな農地・海は、滋味あふれる農産物と魚介類、そして三内丸山に代表される個性的で独自の文化と歴史をはぐくんできました。

しかし今日の青森県の現状は、心を痛める状況ではないでしょうか。雇用の減少と県民所得の低迷で若者は県外に流出し、少子高齢化が進む中で、人口は急速に減少しています。特に過疎地域の急速な人口減少は、自治体そのものの存立の危機をもたらすまでとなっています。また、都道府県別平均寿命は男女とも最下位、自殺率では秋田県に次ぐ第二位は返上したものの依然高い水準となるなど県民の生活は苦しく、憲法二五条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」が脅かされています。

その上、東通原発、六ヶ所核燃料サイクル施設、ウランとプルトニウムを一緒に燃やす世界初の大間原発、米軍の世界戦略の最前線に位置づけられている米軍三沢基地・むつのガメラレーダー・車力のXバンドレーダーなどは、県民の安全を一層脅かすものとなっています。

さらに、消費税増税・TPP・普天間基地移設・原発再開・憲法改悪・労働法制改悪・社会保障改悪などの国の悪政が、県民の貧困と格差を拡大させ、安全を脅かし、平和を破壊しようとしています。

このような状況を克服するためには、日本国憲法の基本原理である「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」が実現される日本と青森県がどうしても必要です。そこで、私たちは日本国憲法が生きる豊かな青森県を実現するため、次に掲げる県政の基本政策を提案します。

 

Ⅰ 県民の意見が反映され、平和が守られ、人権が尊重される、日本国憲法が生きる青森県をつくります。

 

  1. すべての国民の人権を保障する日本国憲法の、基本原理である「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」を、県政運営の根幹に位置づけます。

  2. 県の主人公である県民の意見を最大限尊重するため、県民利益の観点から国の政策に対し、消費税増税反対、農業などを破壊するTPP(環太平洋経済連携協定)参加反対など、積極的に意見を述べる県政を進めます。

  3. 憲法九条の明文・解釈改憲を認めず、恒久平和を守る県政を実現します。

  4. イラク戦争の際、戦闘機F16の出撃基地となるなど、アメリカの世界戦略の中心に位置づけられ、攻撃の対象でありオスプレイ配備の危険もある米軍三沢基地を縮小・解消して、軍事基地のない青森県の実現をめざします。

  5. アメリカのミサイル防衛システムに組み込まれ攻撃の対象となる、むつのガメラレーダー、車力のXバンドレーダー・パトリオットミサイルの撤去を求めます。

  6. 憲法二五条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」実現のため、年金・医療・介護などの社会保障の抜本的な充実に努め、生活保護の引き下げに反対します。

 

 働きやすい、豊かな青森県をつくります。

 

  1. 雇用・子育て・医療・社会保障などの施策を充実させ、人口減少の解消をはかります。

  2. 過疎地域の住民の生活を支え、青森県の地域環境を守ります。

  3. 地元自営業者を守ります。景気変動によってすぐに撤退する県外企業誘致政策から、青森県の風土や文化に根ざして安定した雇用を生む、県内農林水産業・地場産業・中小零細企業支援を強化する政策に切り換えます。

  4. 全国下から三番目の最低賃金大幅引き上げのため国に働かけるとともに、中小零細企業支援を強化し、だれもが安心できる賃金実現に努めます。

  5. 県が率先して、非正規職員の正規化と、長時間労働解消と残業代未払い解消に努めます。

  6. 県と民間企業との契約(公契約)を適正化し、労働者の雇用と賃金の適正水準の確保、県内の多数を占める中小零細企業の経営の安定化をはかります。

  7. 中小業者の営業資金供給を円滑にするため、第三者保証人を要しない県の「無担保・無保証人」の制度融資の創設をはかります。

  8. 県税、地方税の徴収にあたっては、中小業者の生活再建、事業再生ができるように、「納税緩和措置」等を利用し、業者の立場に立った税務行政を進めます。

  9. 地元業者に仕事がまわる「住宅リフォーム助成」を耐震化だけに限定せず、手続きを簡素化して広く進めていきます。

  10. 県民の生活と中小零細企業の経営を破壊する消費税増税に反対し、財源として、法人税と大資産家への増税を求めます。

  11. 中小企業者に重くのしかかっている社会保険料負担軽減と、大企業に応分の負担を求めます。

 

 暮らしやすい豊かな青森県をつくります。

 

[医療・介護保険の保険料と窓口一部負担を改善します]

  1. 負担が大きな国保(国民健康保険)保険料、介護保険料、後期高齢者保険料は、所得に応じた払える額となるよう市町村・県広域連合への支援を強めます。

  2. 国保の医療費窓口負担・介護保険利用料の減免に取り組む市町村に支援を強めます。

  3. 後期高齢者医療費窓口負担の無料化をめざします。当面、非課税世帯の医療費窓口負担を無料とします。

  4. 一八歳(高校卒)まで子どもの医療費無償化をめざします。当面、中学卒までの医療費無料化を実現します。

[地域医療を充実します]

  1. 健康寿命をのばし短命県を返上します。

  2. 地域医療の充実をはかるため医師の確保と偏在化の是正に努めます。とりわけ、総合診療医・産婦人科医・小児科医を重点的に確保していきます。

  3. 地域医療供給体制は、「住民が主人公」の観点で、つくり上げることを基本に策定をすすめます。

  4. 自治体健診が受けやすいものとするため、住民の要望を取り入れて精密検査・指導体制の充実をはかります。特に、家族や短期間雇用労働者の受診率向上に努めます。

  5. 国がすすめる「患者申し出療養制度」創設や都道府県別医療費目標の設定は、保険制度を崩壊させ住民に医療格差と混乱をもたらすので反対します。

  6. 保険料の大幅引き上げと医療費抑制につながりかねない、国保の都道府県単位化に反対します。

[介護で苦しまないようにします]

  1. 介護を求める人が介護サービスから排除されたり、地域によって介護サービスに地域間格差が生じないように、国に求めます。特別養護老人ホームの待機者の解消に努めます。

  2. 地域包括支援センターの機能が充分果たせるように、人的体制の強化や財政的補助の大幅な拡充に助成を強めます。

  3. 介護サービスの質の向上をめざして、人材確保と育成に支援と助成を行います。また、介護労働者の賃金・労働条件の改善や教育研修に必要な財政支援を拡充します。

[子ども子育て支援を充実します]

  1. 妊娠・出産にかかわる費用援助をさらに強化するとともに、子育て支援を充実します。産後ヘルパー派遣、ファミリーサポートセンター、病児・病後児保育、一時預かりなどを拡充するとともに利用料減免、市町村への補助金を増やします。

  2. 「子ども子育て支援新制度」の実施にあたって、認定こども園や地域型保育事業に保育格差を持ち込まず、どの子も安心して預けられる保育環境をつくります。

  3. ひとり親世帯への経済的支援や育児・就労相談などの対応をきめ細かく行い、あわせて、子どもの貧困・虐待・いじめのない青森県を実現します。

  4. 学童保育の充実をはかります。

[低所得・生活困窮者に厚い支援をします]

  1. 生活保護基準額引き下げに反対し、憲法二五条「健康で文化的な最低限度の生活」確保につとめます。

  2. 生活保護基準額を運用基準としている公営住宅、就学援助など各種公的サービスが生活保護基準額の引き下げによって影響を受けないようにします。

  3. 各地域の福祉事務所において専門職のケースワーカーを大幅に増員し、相手の立場に立った指導援助が行えるようにします。

[障がい児・障がい者の希望実現をめざします]

  1. 年齢による介護・福祉・医療サービスの利用格差をなくすために、障がい児から高齢障害者までの切れ目ない総合的な福祉・医療制度を創設します。

  2. 障害者総合支援法の第七条(介護保険優先原則)の廃止、「自立支援医療」の住民税非課税世帯の無料化の実施、障がい児のサービス利用における親・子・兄弟姉妹・配偶者からの利用料徴収をやめることを国に求めます。

 

 子どもたち一人ひとりが伸びのびと成長できる学校・教育の青森県をつくります。

 

  1. 削減が続く教育費を充実させ、青森県の次代を担う若者を育てます。

  2. 少人数学級を小・中学校の全学年に広げます。

  3. 特別支援学校の増設や教室数を増やして、過密状態を解消します。

  4. 子どもと保護者の願いがとどく学校をめざし、子ども・保護者・教職員による協議会を設置します。

  5. 県独自の給付型奨学金制度をつくります。

  6. 公立高校の授業料無償・私立高校の授業料負担を減らし、安心して教育を受けられるようにします。

  7. 地域の高校を存続させます。

  8. 教育の父母負担を軽減し、就学援助を充実させます。

  9. 教育現場の長時間勤務、過労死をなくします。

 

 財政政策として、わが県が誇る自然と文化を活かした、農林水産業・地場産業が発展する青森県をつくります。

 

  1. 失敗を繰り返し、県費を浪費してきた県外企業誘致から、県内に再投資される県内農林水産業・地場産業・中小零細企業支援へ財政支出を転換させます。

  2. 県外への雇用流出に歯止めをかけ、県民所得増加のため、中央資本企業誘致政策から、売り上げが県内に還元され、雇用が継続的に増加する県内農林水産業・地場産業・中小零細企業への支援強化に切り換えます。

  3. 財政支出を、雇用創出効果が高い医療・福祉などの社会保障や生活関連公共事業に切り換えます。

  4. 悪化した県財政を立て直すため、効率的運用によって、基金残高の減少と県債残高の増加に歯止めをかけます。

  5. 危機的県財政を改善するため、県財政の主要部分を占める地方交付税と国庫支出金の削減に強く反対し、安定的財源での県財政確立を国に求めます。

 

 産業政策として、わが県に根ざした農林水産業の振興と活性化をはかります。

 

  1. 青森県の基幹産業である農業を根底から破壊するTPPに、断固反対します。食料の自給と国土保全に重要な役割をはたす農林水産業を守り、安心して暮らしていける産業へと発展させます。

  2. 国の責任で米価暴落をおさえるよう、生産と価格の安定を県として国に求めていきます。

  3. 安全で安心な県産品の地産地消を積極的に推進します。

  4. 食の安全を脅かす遺伝子組み替え・放射性物質汚染等による作物や食品に関する情報発信を強化します。

  5. 後継者育成と新規就業者増加政策を進め、農林水産業就業人口減少に歯止めをかけます。

  6. 県内自給率100%以上を維持し、国内食料自給率50%を青森から実現していきます。

  7. 県内木材の公共建築物や住宅への利用を積極的に広げます。

  8. 魚価の安定と資源管理をすすめ、漁業経営安定策を実現していきます。

  9. 農林水産物の県外・国外への販路拡大と共に、地産地消を拡大して安定した県内市場を実現していきます。

 

 青森県の豊かな自然環境を守り、観光産業や農林水産業と結びつけ、県土保全と県内産業の発展をはかります。

 

  1. 海・河川・土壌の環境保全対策を強化し、ゴミの不法投棄ゼロ県に向けた仕組みを作ります。

  2. 青森県の豊かな自然を一瞬で台無しにする原発・核燃エネルギー事業に頼らず、地域の特性を活かし環境に優しい小水力、風力、バイオ、地熱発電など地元資本による再生可能エネルギーへの転換をはかります。

  3. ユネスコスクール開設などESD(持続可能な開発のための教育)先進県として、学びの「自然の家」などの発信拠点を県内全域に再生し、故郷の自然を大切にする自然環境教育を強化推進します。

  4. 農薬使用を抑えた農法を推進し、安全作物生産日本一をめざします。

  5. 自然環境にやさしい循環型農林水産業への啓発活動を進めます。

  6. 生物多様性を守り、豊かな自然と共存できる「青い森」を目指すため、県内全域の魅力発信を強化し、観光集客を分散、マスツーリズムからエコツーリズムへの転換を促して、自然を守りながら観光産業全体の再生をはかります。

  7. 下北半島の海岸を含む雄大な猿ヶ森埋没林全体を自然公園にして世界ジオパーク登録をめざし集客増により地元に利益を還元します。

  8. 山地の荒廃を防止し、豊かで健全な森づくりを進めます。

  9. 植林地の保育を促進するため、従業者の後継者育成、木材高度利用販売拡大戦略の総合的な仕組みを作ります。

 

 原子力発電・核燃料サイクルから撤退し、安全で安心できる青森県をつくります。

 

  1. 原子力発電・核燃料サイクルから撤退し、原発・核燃料関連補助金からの脱却と、県民が安心して持続的に生活できる再生エネルギーへの転換を図ります。

  2. 原発・核燃からの撤退による立地自治体及び周辺自治体、関連産業への影響を緩和するため、激変緩和措置として一部交付金、課税特例、その他の措置を取り、さらに総合的かつ広域的な経済振興を図り、地域の自立発展をめざします。

  3. 原発の再稼働、新増設、輸出政策に基づく、東通原発一号機の再稼働、むつリサイクル燃料貯蔵施設の操業、大間原発の建設に反対し、青森から原子力に依存しない社会の実現をめざします。

  4. 核燃料サイクル施設の稼働と新たな施設の建設に反対します。

  5. 使用済み核燃料、低レベル・高レベル放射性廃棄物等の本県への一極集中を改め、発生者責任による保管制度の確立を求めます。

  6. 核燃料を除く再生可能エネルギーの地産地消目標を高く掲げ、地域主体のエネルギー自治による持続可能なエネルギー安定供給をめざします。

  7. 原発・核燃から即座に撤退しても核施設過酷事故の危険は残るため、徹底した安全対策を取るとともに、すべての県民のいのち・安全を守るために、県内の自治体が原子力事業者と安全協定を締結し、全県的な避難計画を近隣県との協議を行いながら作成し、定期的に全県的な避難訓練を行います。

 

 県民の意見が県政に反映するように努めます。

 

  1. 情報公開を徹底して進めます。

  2. 各種委員会・審議会の委員の公正な選出と、公開に努めます。

  3. 公務員の天下りを根絶し、県とのつながりが深い公的団体の健全で透明な事業経営をすすめます。

 

以 上

 

 

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